声の男女判定のしくみ
このページの判定は、声の高さだけで決めているわけではありません。声の高さ(基本周波数・F0)と共鳴(フォルマントF1/F2)という、独立した2つの証拠を組み合わせています。VTuberや配信者の間でも声の判定が話題ですが、ここでは計算の中身をそのまま説明します。
声の高さ(基本周波数)は、声帯が1秒間に開閉する回数で、耳には声の高低として聞こえます。一文を通した平均で見ると、一般的な成人の男性的な声はおよそ85〜155Hz、女性的な声はおよそ165〜255Hzに集まります。ただし個人差は大きく、155〜175Hzあたりでは両者が重なっています。本ツールは約158Hzを境目とし、高いほど女性寄り、低いほど男性寄りに、なだらかに傾くように計算しています。
共鳴(フォルマント)は、声帯より上にあるのどと口の空間が響く周波数です。最初の2つ、F1とF2をLPCという手法で読み取ります。位置は主に声道の長さで決まり、声道が短いほど高くなります。
2つの証拠は「高さ68%・共鳴32%」の重みで合算し、「女性寄り何%」という1つの数値にまとめます。高さの比重が大きいのは、聞き手がもっとも強く頼る手がかりが高さだからです。
高さだけでは決まらない:共鳴の役割
高さだけで判定すると、典型的に2つのケースを読み違えます。男性的な声で裏声を出すと、高さは上がっても長い声道の響きは残ります。逆に、もともと低めの女性の声は、高さは低くても共鳴は女性寄りのままです。共鳴の数値を一緒に見るのは、このずれを補うためです。
共鳴の手がかりでは、一文の平均でF1がおよそ500Hz、F2がおよそ1550Hzを超えると女性寄りに傾き始め、F2をやや重く扱います。フォルマントは母音ごとに大きく動くので、一文を通して平均しています。
ただし短い会話の音声では共鳴の手がかりは弱く、完全には補正できません。そのために用意したのが、次の深度共鳴チェックです。
深度共鳴チェック(beta):本当に高さだけ?
本サイトの実測です。公開音声コーパスLibriSpeechの男性20人・女性20人の録音を、音声分析ソフトPraatで共鳴はそのままに高さだけ変えました。男性は約200Hzまで上げ、女性は約120Hzまで下げています。標準の判定は毎回高さにつられ、高さを上げた男性20人は全員が女性寄り(73〜80%)、高さを下げた女性20人は全員が男性寄りと判定されました。詳しい方法とデータは実験レポート(英語)にまとめています。
深度共鳴チェックは、録音後に任意で実行できる追加の判定です。オープンソースの音声モデル(Common Voice Gender Detection、Apache-2.0)をブラウザに読み込み、典型的な女性の声と男性の声のどちらに聞こえるかを判定させます。同じ40人の5秒の録音では、元の録音40本のうち37本を正しく判定し、高さだけを上げた男性20人のうちだまされたのは3人、高さだけを下げた女性20人では2人でした。
結果は「高さの手がかりだけで見た女性寄り%」と並べて表示されます。高さは女性寄りなのにモデルには男性的に聞こえている場合、共鳴がまだ高さに追いついていない可能性が高いと考えられます。初回はHugging Faceからモデル約95MBをダウンロードしますが、録音は端末内で分析され、アップロードされません。示すのは声がどう聞こえやすいかで、話している人が誰かではなく、短い録音や雑音の多い録音では外れることもあります。
結果の見方(女性寄り%と信頼度)
結果はラベルだけでなく、根拠の数値と一緒に表示されます。
結果の表示例 · サンプル音声で、あなたの声ではありません

信頼度は3つの要素の掛け算です。手がかりの一致:高さと共鳴が同じ方向なら、「中性的」でも高くなり、食い違うと大きく下がります。証拠のそろい方:フォルマントが取れなかった場合は高さだけで判定し、上限をかけます。信号の質:声になっている部分の割合や調波対雑音比(HNR)が低いと下がります。
「中性的」は失敗ではなく、男女の分布が重なる領域にある声をそのとおりに表した結果です。38%から47%に動いた声は、ラベルは同じでも数値でははっきり変化しています。
両声類・ボイチェン・ボイトレをしている人へ
両声類の練習や、自分に合った声を目指すボイストレーニングの途中でこのページに来た方も多いと思います。結果が表すのは「あなたの性別」ではなく、「その録音の声がどう聞こえやすいか」です。どこを目指すかは、あなた自身が決めることです。
高さだけでなく共鳴を見る。標準の判定は高さだけでも女性寄りに動くので、女性寄り%が上がったら、F1・F2と深度共鳴チェックもあわせて確認してください。練習中は高さが先に動き、フォルマントはあとからついてくるのが一般的です。
ボイチェンを使うとき。高さだけをずらすタイプの音声は上の実測と同じ条件で、標準の判定が振れても、深度共鳴チェックは別の答えを返すことがあります。逆に、約123Hzで話す男性1人の朗読でフォルマントだけを10%上げたところ(本サイト実測)、モデルが女性の声と判断する確率は0%から100%に変わり、標準の判定は23%から25%とほぼ動きませんでした。1人だけの例ですが、共鳴の影響の大きさがわかります。
条件をそろえる。同じ部屋・端末・距離・文章で録音してください。フォルマントはマイクの位置に敏感です。数値はこのブラウザ内に記録して推移を比べられます(音声は保存されません)。
無理をしない。のどを締めた高い声は、ジッターの上昇とHNRの低下に表れます。判定が良くなってもこの2つが悪化したら休むサインです。言語聴覚士やボイストレーナーと取り組み、このツールは合間の鏡として使ってください。
この判定でわからないこと
子どもの声は、性別にかかわらず多くが158Hzの境目より高いため、女性寄りに出やすくなります。基準の範囲は集団の平均で、言語や年齢、体格、風邪などでも変わります。
ふだんの話し声で2〜3回録音し、真ん中の結果を代表値にしてください。結果は声の音響的な推定で、娯楽と自主練習のためのものです。医療的な診断ではありません。スコアや声年齢もあわせて知りたい方は、声診断で同じ5秒の録音から確認できます。
よくある質問
最終確認日:2026年10月3日
自分の声は男性・女性どちらに聞こえますか?
5秒録音すると、声の高さとフォルマントから、男性寄りから女性寄りまでのスケール上の位置を%で示します。68%以上は「女性寄り」、32%以下は「男性寄り」、その間は「中性的」と表示されます。初対面の人にどう聞こえるかの目安になります。
声の高さだけ上げれば女性寄りと判定されますか?
標準の判定ではそうなりやすいです。本サイトの実測では、男性20人の録音を高さだけ約200Hzに上げると、標準の判定は20人全員を女性寄りとしました。任意の深度共鳴チェックがだまされたのは、そのうち3人だけでした。
「中性的」と出たのは失敗ですか?
失敗ではありません。男女の声の分布が重なる、およそ155〜175Hzの領域にあなたの声があるという、実際の測定結果です。
信頼度が低いのはなぜですか?
高さと共鳴の手がかりが食い違っている、フォルマントが取れなかった、雑音が多い、のいずれかが主な原因です。静かな部屋で録り直してみてください。
子どもの声も男女を判定できますか?
できません。子どもの声は性別にかかわらず多くが158Hzの境目より高いため、女性寄りに出やすくなります。
無料ですか?録音はアップロードされますか?
無料で、会員登録もインストールも不要です。分析はすべてブラウザ内で行われ、録音が送信・保存されることはありません。